車のオーディオやラジオを触っていると、必ず目にする「AM」と「FM」の切り替えボタン。
なんとなく違うものとして使い分けてはいるけれど、「で、結局なにが違うの?」と聞かれると、案外うまく答えられない人は多いと思います。
この記事では、AMとFMの違いを、電波の仕組みから音質・到達距離・用途まで、わかりやすく整理していきます。
さらに、最近話題になっている「AMラジオがFMに一本化される」という動きについても触れます。
ワイも「違う」という以上のことは知らんわ。
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そもそも電波とは何か
AMとFMの違いを理解する前に、ほんの少しだけ「電波」の話に触れます。
電波は、空間を波のように伝わるエネルギーのことです。
海の波と同じく、山と谷が連続したかたちをイメージするとわかりやすいです。
この波には、主に2つの性質があります。
- 振幅(しんぷく):波の「高さ」。大きいほどエネルギーが強い
- 周波数:1秒間に波が何回くり返すか。多いほど波が細かい
ラジオ放送は、この電波に「音の情報」を乗せて飛ばし、受信機側で音に戻すことで成り立っています。
そして、 音をどうやって電波に乗せるか の方式の違いが、まさにAMとFMの違いです。
AMとFMの仕組みの違い
AMもFMも、音の情報を電波に乗せて運ぶ点では同じです。違うのは「乗せ方」です。
AM=振幅変調(Amplitude Modulation)
AMは「Amplitude Modulation」の略で、日本語では「振幅変調」と訳されます。
波の高さ(振幅)を変化させることで、音の情報を電波に乗せる方式です。
音が大きい瞬間は波を大きく、小さい瞬間は波を小さくする、というイメージです。
波の細かさ(周波数)自体は一定で、上下の大きさだけが情報になっています。
FM=周波数変調(Frequency Modulation)
一方、FMは「Frequency Modulation」の略で、「周波数変調」と訳されます。
今度は波の高さは一定のまま、波の細かさ(周波数)を変化させる方式です。
音が大きい瞬間は波を細かく、小さい瞬間は波をゆるく、といった感じで、波の「間隔」に情報を乗せていきます。
| 項目 | AM(振幅変調) | FM(周波数変調) |
|---|---|---|
| 変えるもの | 波の高さ(振幅) | 波の細かさ(周波数) |
| 使う周波数帯 | 中波(526.5〜1606.5kHz) | 超短波(76〜95MHz) |
| 音質 | くぐもった音になりやすい | クリアでステレオ放送が可能 |
| 遠くまで届くか | 遠くまで届きやすい | 近距離向け |
| ノイズへの強さ | ノイズに弱い | ノイズに強い |
音質はなぜFMのほうがきれいなのか
結論から言うと、 FMのほうがAMより音質が良い というのが一般的な評価です。
音楽番組の多くがFMで放送されるのも、これが理由です。
理由は大きく2つあります。
1つは、FMのほうが扱える音の幅(周波数帯域)が広く、原音に近い音を再現しやすいこと。AMは比較的狭い帯域で送るため、人の声は伝わっても、楽器の細かい響きや高音の伸びは再現しきれません。
もう1つは、ノイズへの強さです。AMは「波の高さ」に情報を乗せているため、雷や電気機器から発生するノイズ(これも振幅の乱れとして電波に混じる)の影響を直接受けてしまいます。一方、FMは「波の細かさ」に情報を乗せているため、振幅が多少乱されても情報そのものは守られやすい構造になっています。
AMラジオで「ザザザ……」というノイズが目立つのに、FMだとほとんど気にならないのは、こうした原理の違いから来ています。
電波の届く距離はAMのほうが圧倒的に長い
音質ではFMに軍配が上がる一方、電波の届く距離ではAMが圧倒的に有利です。
AMは中波と呼ばれる比較的低い周波数帯を使います。
波長が長く、地表に沿って遠くまで伝わるうえ、夜間は上空の電離層で反射して数百km〜数千km先まで届くこともあります。深夜のAMラジオで遠くの地方局や、ときには海外の放送が聞こえてしまうのは、この性質によるものです。
一方、FMは超短波と呼ばれる高い周波数帯を使うため、波長が短く、基本的に「見通し範囲」しか届きません。山や大きな建物に遮られると、その向こうには届きにくいのが特徴です。そのかわり、近距離ではノイズが少なく、安定して受信できます。
つまり、ざっくり言えばこうなります。
・AM→音質はそこそこ、でも広範囲をカバーできる
・FM→カバー範囲は狭いけど、音質はクリア
用途の違い:ラジオだけじゃない
AMとFMの違いは、ラジオ放送以外にも色々な場面で使われています。
AM方式は、長距離向きの性質を活かして、ラジオ放送のほか、航空無線(飛行機と管制官の通信)や一部の業務無線で今も使われています。航空無線でAMが使われているのは、複数の信号が混ざったときに弱い信号も聞き取れる、というAM特有のメリットがあるためです。
FM方式は、ラジオ放送のほか、アナログ時代のテレビ音声、トランシーバー、ワイヤレスマイク、コードレス電話など、近距離で高音質を求める用途に幅広く使われてきました。
「AM=古い、FM=新しい」というイメージを持たれることもありますが、実際は どちらも特性を活かして今も現役で使われている技術 です。
ワイドFMとは?AMをFMの周波数で聴ける仕組み
ここ数年、ラジオの世界で注目されているのが「ワイドFM」です。正式には「FM補完放送」と呼ばれます。
これは、本来AMで放送されている内容を、FMの電波(90.0〜94.9MHzの帯域)でも同時に流す仕組みです。
たとえば「文化放送(AM 1134kHz)」を、ワイドFMの「91.6MHz」でも聴ける、といった具合です。
導入された背景は主に3つあります。
AM放送は都市部のビル群やノイズに弱く受信しづらい地域があったこと、AM送信設備(巨大な鉄塔)の老朽化と維持コストが大きな負担になっていたこと、そして災害時にAM送信所が被災すると放送が止まってしまうリスクがあったことです。
ワイドFMに対応した受信機(最近のラジオやスマホ用ラジオアプリの多くは対応済み)があれば、AM番組を高音質で、しかも安定して聴けるようになります。
AMラジオはFMに一本化される?2028年問題のいま
実はいま、日本のAMラジオは大きな転換点を迎えています。
民間放送連盟の発表によると、 民放AMラジオ47局のうち44局が、2028年秋までにFM局への転換を目指す としています。2028年が選ばれているのは、5年に1度のラジオ局の免許更新時期にあたるためです。
すでに2024年からは、AMを実際に止めてFMだけで放送できるかを検証する「AM停波実証実験」が始まっています。総務省も特例措置を設け、放送局がAM送信所を長期休止できるよう制度を整えました。実際に2025年12月以降、CBCラジオなどがAM中継局の運用を順次休止しています。
ただし、すべての局が一斉にAMをやめるわけではありません。在京3局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)は当面AMも併用する方針で、地方局でも災害時の情報伝達を考慮して一部AMを残す動きがあります。NHKのラジオ第1・第2はこの流れとは別枠で、引き続きAM放送が続く予定です。
つまり、「AMラジオはなくなる」というより、「民放AMラジオの多くがFMに引っ越していき、AMは段階的に縮小していく」というのが現状の正しい理解です。
災害時にラジオが役立つ理由
少し話はそれますが、AMとFMの違いを知っておくと、災害時の備えにも役立ちます。
スマートフォンは便利ですが、災害時には基地局の被災や輻輳(一斉アクセスによる通信障害)で使えなくなることがあります。一方、ラジオは電池さえあれば長時間情報を受け取り続けられる、非常に頼れるメディアです。
とくに地方では、AMの広いカバー範囲が災害時の情報源として機能してきました。今後ワイドFMやFM転換が進んでも、ラジオそのものの重要性は変わりません。ワイドFM対応+手回し充電付き、できれば乾電池とUSB充電の両方が使えるタイプの防災ラジオを1台用意しておくと、いざというときに安心です。
まとめ:違いを知ると、ラジオがちょっと面白くなる
AMとFMの違いを、ここまでの内容で整理するとこうなります。
- AMは「波の高さ」に音を乗せる方式、FMは「波の細かさ」に乗せる方式
- 音質はFM、到達距離と広範囲カバーはAMが得意
- 用途はラジオだけでなく、航空無線・トランシーバー・ワイヤレスマイクなど多岐にわたる
- ワイドFMで、AM番組をFM電波で聴けるようになった
- 2028年秋を目処に、民放AMの多くがFM局へ転換予定
普段なんとなく使っているラジオも、仕組みを知ると景色が少し変わって見えます。次にAMとFMを切り替えるとき、「あ、これは波の高さで情報を送ってるんだな」と思い出してもらえたら、この記事を書いた甲斐があります。
へぇ〜、AMが「高さ」でFMが「細かさ」なんやな。ワイ、ちょっと賢くなった気がするわ。
よくある質問
- AMとFM、結局どちらが優れているのですか?
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「どちらが優れている」というより、用途による得意・不得意がある、というのが正確です。音質を求めるならFM、広範囲・長距離で安定して情報を届けたいならAMが向きます。だからこそ両方が今も使われています。
- なぜ夜になると遠くのAM放送が聞こえるのですか?
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AMが使う中波は、夜間に上空の電離層という層で反射する性質があります。これによって、本来直接届かないはずの遠方の電波が反射して届くため、深夜には数百km先や時には海外の放送まで受信できることがあります。
- ワイドFMは普通のFMラジオで聴けますか?
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ワイドFMは90.0〜94.9MHzの周波数を使うため、95MHzまで受信できるラジオであれば聴けます。2015年以降に発売されたラジオの多くは対応していますが、それ以前の古いFMラジオ(76〜90MHzまでしか受信できないもの)では聴けません。購入時は「ワイドFM対応」と書かれているかを確認するのが確実です。
- AMラジオは本当に2028年で全部なくなるのですか?
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全部なくなるわけではありません。民放AM47局のうち44局が2028年秋までにFM局への転換を目指していますが、在京3局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送)は当面AMを併用する方針です。また、NHKのラジオ第1・第2はこの流れとは別で、引き続きAM放送が続く予定です。「民放AMが大きく縮小する」が正確な表現になります。
- なぜ航空無線では今もAMが使われているのですか?
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AMには「同じ周波数に複数の信号が乗ったとき、弱い信号も聞き取れる」という性質があります。FMは強い信号が弱い信号を打ち消してしまう(キャプチャ効果)ため、複数機から同時に通信が入る可能性のある航空無線では、AMのほうが安全だと考えられています。歴史的経緯と安全性の両方から、世界的にAMが採用され続けています。
参考リンク↓
民放AMラジオ44局が2028年秋までにFM化へ(日経クロステック)