エンコード・デコードとは?動画制作の基本をやさしく解説

「エンコード」「デコード」という言葉、動画編集を始めるとよく耳にしますよね。でも、いざ意味を説明しようとすると、なんとなくしかわからない…そんな方も多いのではないでしょうか。

動画編集ソフトで書き出しをしようとしたら「エンコード中…」と表示されたり、「このコーデックではデコードできません」というエラーが出たり。動画制作をしていると、避けては通れない用語なんです。

この記事では、動画編集を始めたばかりの方や、これから動画クリエイターを目指そうと思っている方に向けて、エンコード・デコードの仕組みをわかりやすくお伝えしていきます。

専門用語が出てきても丁寧にかみ砕いていきますので、安心して読み進めてくださいね。

おねしゃす

目次

エンコード・デコードとは?まずは基本のキから

エンコード(encode)とデコード(decode)は、簡単にいうと「データを変換する作業」のことです。

エンコードは「変換する」、デコードは「元に戻す」と覚えておくと、まずはOKです。

たとえば動画のデータって、そのままだとものすごく容量が大きいんです。スマホで撮った数分の動画でも、加工せずに保存しようとすると何十GBにもなってしまうことがあります。これではパソコンの容量も食うし、YouTubeにアップロードするのも大変ですよね。

そこで登場するのがエンコード。動画データを圧縮して、扱いやすいサイズに変換する作業のことです。たとえば「MP4形式」「MOV形式」など、わたしたちが普段目にする動画ファイルは、すべてエンコードされたあとの姿なんですよ。

そしてデコードは、その逆。圧縮されたデータを、再生できる状態に戻す作業のことです。あなたがYouTubeで動画を見るとき、裏では再生プレイヤーがデコードを行っていて、それによって映像と音声が画面と耳に届いているんです。

つまり、わたしたちが普段なにげなく動画を見たり編集したりしているそのウラでは、エンコードとデコードがいつも働いてくれているわけですね。

なぜエンコードが必要なの?身近な例で考えてみよう

「圧縮しなくても、そのまま使えばいいんじゃないの?」と思うかもしれません。

でも、エンコードがないとどうなるか、ちょっと想像してみましょう。

たとえば、フルHD(1920×1080)の動画を1秒間そのまま記録すると、なんと約1.5GBにもなります。1分でおよそ90GB、10分なら900GB。これでは、いまどきの大容量SSDでもすぐにパンクしてしまいますよね。

そこでエンコードの出番です。エンコードによって動画を圧縮すると、サイズを何十分の1から何百分の1にまで小さくできます。1分90GBの動画が、エンコード後は数十MBになることも珍しくありません。

おかげでわたしたちは、スマホに動画を保存したり、SNSやYouTubeにアップロードしたり、メールで送ったりできるわけです。エンコードは、動画を「使いやすくしてくれる」とても大切な技術なんですね。

身近な例でいうと、旅行のときにスーツケースに荷物を詰めるイメージに近いかもしれません。

服をたたんで圧縮袋に入れれば、たくさんの荷物がコンパクトに収まりますよね。動画のエンコードも、それと似たようなことをしているんです。

そして目的地に着いたら袋から取り出して使う、これがデコードにあたります。

コーデックって何?エンコードとセットで覚えよう

エンコードの話をするうえで、絶対に外せないのが「コーデック」という言葉です。

コーデックは英語の「Coder(符号化)」と「Decoder(復号化)」を合わせた造語で、動画や音声を圧縮・展開するための仕組みやソフトウェアのことを指します。

「エンコードのやり方にもいろいろ流派がある」と思ってもらうとわかりやすいです。代表的なコーデックには、次のようなものがあります。

H.264(エイチにろくよん)は、現在もっとも広く使われている動画コーデックです。圧縮率と画質のバランスが良く、YouTubeやSNS、Blu-rayなど、ありとあらゆる場面で使われています。動画編集を始めたばかりなら、まずはこのH.264で書き出しておけば、ほぼどこでも再生できます。

H.265(HEVC)は、H.264の後継となる新しいコーデックです。同じ画質ならファイルサイズを約半分にできるという優れもの。4K・8Kといった高解像度動画でよく使われていますが、再生に対応していない古い端末があるのが難点です。

ProRes(プロレス)は、Appleが開発した編集向けの高画質コーデックです。圧縮率は低めですが画質が非常にきれいで、プロの動画編集現場でよく使われています。

AV1は、最近注目されている次世代コーデック。H.265より圧縮効率が良く、しかもオープンソース(無料で使える)なので、これから普及が進むと予想されています。

そして、ここで注意したいのが「コーデックとファイル形式(拡張子)は別物」ということ。たとえば「MP4」というのはファイル形式(コンテナ)の名前で、その中に「H.264のコーデックで圧縮された映像」と「AACで圧縮された音声」が入っている、というイメージなんです。お弁当箱(MP4)の中におかず(コーデック)が詰まっている、と考えるとイメージしやすいですよ。

動画編集者がエンコードで気をつけるべきこと

ここからは、実際に動画編集をするときに知っておきたいエンコードのポイントをお伝えしますね。

ひとつ目は「書き出し設定を理解する」こと。動画編集ソフト(Adobe Premiere Pro、DaVinci Resolve、Final Cut Proなど)で書き出しをするとき、コーデック・ビットレート・解像度・フレームレートなどを設定する画面が出てきます。最初は項目が多くて戸惑いますが、用途別の推奨設定を覚えてしまえば大丈夫です。

たとえばYouTubeにアップする動画なら、コーデックはH.264、解像度は1920×1080または3840×2160、フレームレートは撮影時と同じ、ビットレートは8〜15Mbps程度が目安。これだけ覚えておけば、最初はじゅうぶんですよ。

ふたつ目は「画質とファイルサイズのバランスを意識する」こと。ビットレート(1秒あたりのデータ量)を上げれば画質はきれいになりますが、ファイルサイズも大きくなります。逆に下げすぎると、画面がカクカクしたりノイズが乗ったりします。用途に合わせてちょうどいいバランスを見つけるのが、動画編集者の腕の見せどころですね。

3つ目は「エンコードには時間がかかる」ということ。10分の動画を書き出すのに、パソコンの性能によっては10分以上かかることも珍しくありません。締め切り間際に「エンコード中…」とにらめっこする羽目にならないよう、時間に余裕をもって作業しましょう。

ちなみに、エンコード作業はパソコンに大きな負荷がかかります。動画編集を本格的にやるなら、GPU(グラフィックボード)が強いパソコンを選ぶと作業がぐっと快適になりますよ。

デコードでつまずきやすいポイント

デコード側でも、初心者がつまずきがちなポイントがあります。

よくあるのが「素材を編集ソフトに読み込めない」というトラブル。これはたいてい、編集ソフトがその素材のコーデックに対応していないことが原因です。たとえば、最新のスマホやカメラで撮影したH.265の素材を、古いバージョンの編集ソフトに読み込もうとして失敗する、というケースがよくあります。

解決策としては、読み込めない素材を一度別のコーデックに変換するのが定番。「HandBrake」のような無料の変換ソフトを使って、H.265からH.264に変換すれば、たいていの編集ソフトで扱えるようになります。

もうひとつ、「再生がカクカクする」問題もよく起こります。これは、パソコンのスペックがデコードに追いついていないことが原因のことが多いです。とくにH.265や4K素材は、デコードに大きな処理能力を必要とします。

対策としては、編集ソフトの「プロキシ機能」を使うのがおすすめ。プロキシというのは、編集中だけ低画質の軽い素材を使い、書き出すときに元の高画質素材に差し替える仕組みのこと。これを使えば、非力なパソコンでも快適に編集できますよ。

動画クリエイターを目指すなら知っておきたいこと

これから動画クリエイターを目指す方に、最後にお伝えしておきたいことがあります。

エンコード・デコードの知識は、最初は地味で退屈に感じるかもしれません。「早く編集テクニックを覚えたい」「カッコいい映像を作りたい」と思いますよね。その気持ちはとてもよくわかります。

でも、この基礎知識があるかないかで、トラブルが起きたときの対応力がまったく変わってきます。クライアントから「データが重すぎる」「指定の形式で納品して」と言われたときに、サッと対応できる人は信頼されます。逆に、毎回パニックになっていると、なかなか仕事が広がっていきません。

最初からすべてを覚える必要はありません。作業しながら少しずつ「こういうときはこうする」を増やしていけば大丈夫です。今回お伝えした内容も、頭の片隅に置いておいて、必要になったときに思い出してもらえたらうれしいです。

まとめ

今回は、動画制作の基本である「エンコード」と「デコード」についてお伝えしてきました。最後にポイントを振り返ってみましょう。

エンコードは動画データを圧縮して使いやすく変換する作業、デコードは圧縮されたデータを再生できる状態に戻す作業でした。そして、その変換のやり方を決めるのがコーデックで、H.264やH.265、ProResなどさまざまな種類があるんでしたね。

動画編集者にとっては、書き出し設定の理解や、画質とサイズのバランス、素材のコーデック対応など、エンコード・デコードの知識はあらゆる場面で役に立ちます。

最初は難しく感じるかもしれませんが、実際に動画を作っていくうちに、自然と身についていきますよ。焦らず、楽しみながら動画制作の世界を広げていきましょうね。あなたのクリエイティブな挑戦を応援しています!

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