防水・防塵の「IP」「IPX」とは?等級の意味を分かりやすく解説

スマホやイヤホン、スピーカーのスペック表でよく見かける「IP67」や「IPX4」といった表記。

なんとなく「防水っぽい」とは分かっても、数字の意味まで正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、IP・IPXコードの読み方と各等級の意味を、早見表つきで分かりやすく解説します。

※本記事は防水・防塵規格の一般的な仕組みを解説するものです。お使いの製品が実際にどこまでの防水・防塵性能を備えているかは、必ずメーカー公式の製品ページや取扱説明書でご確認ください。

目次

そもそもIP・IPXコードとは?

「IP」とは International Protection(国際保護等級) の略で、電気製品が「固形物(ホコリなど)」と「水」からどれだけ保護されているかを示す国際的な規格です。国際電気標準会議(IEC)が定めた IEC 60529 という規格がもとになっており、日本国内では JIS C 0920 として規格化されています。

スマホやイヤホンに限らず、屋外照明・カメラ・産業機器など、幅広い電子機器でこの表記が使われています。つまり「IP〇〇」は、メーカーが独自に決めた言葉ではなく、世界共通のものさしというわけです。

IPコードの読み方|前が「防塵」、後ろが「防水」

IPコードは「IP」のあとに2つの数字が続きます。ポイントはとてもシンプルで、1つ目の数字が防塵性能の等級、2つ目の数字が防水性能の等級を表しています。

たとえば「IP68」なら、防塵性能が6級・防水性能が8級という意味になります。「6級だから水も6相当」ではなく、桁ごとに分けて読むのが正しい読み方です。たとえばイヤホンでよく見る「IP57」は、防塵5級+防水7級と分解して理解しましょう。

「IP6X」「IPX8」の“X”はゼロではない

製品によっては「IP6X」「IPX4」のように、片方が「X」になっている表記を見かけます。これは 防塵・防水のうち、片方だけを評価・表記している ことを示すものです。

注意したいのは、「X」は「0(保護なし)」という意味ではないという点。

あくまで「その項目については試験・表記していない」という意味です。

読み方は「アイピー6エックス」「アイピーエックスよん」となります。

イヤホンの多くは防水性能だけを表記するため、「IPX4」のような形がよく使われます。

防塵等級(1つ目の数字)の早見表

防塵性能は、外部からの固形物の侵入に対する保護等級で、0〜6の7段階に分かれています。等級が上がるほど、防げる固形物のサイズが小さくなっていきます。

等級保護内容
6粉塵が内部に侵入しない(完全防塵)
5動作に支障をきたす量の粉塵が侵入しない
4直径1mm以上の固形物から保護
3直径2.5mm以上の固形物から保護
2直径12.5mm以上の固形物(指など)から保護
1直径50mm以上の固形物(手など)から保護
0保護なし
X防塵について評価・表記していない

具体的なサイズが規定されているのはIP4Xまでで、IP5X以上は「粉塵」という細かなレベルが対象になります。スマホで防塵性能がある場合は、IP5XまたはIP6Xに該当することがほとんどです。

参考:日本産業標準調査会(JISC)「JIS C 0920」IEC「IEC 60529」

防水等級(2つ目の数字)の早見表

防水性能は、外部からの水の侵入に対する保護等級で、0〜8の9段階に分かれています。等級が上がるほど、耐えられる水の勢い・水深・時間の条件が厳しくなります。

等級保護内容
8継続的に水没しても影響なし(試験条件はメーカー規定)
7一時的に水没しても影響なし(水深1m・30分まで)
6あらゆる方向からの強い噴流水から保護
5あらゆる方向からの噴流水から保護
4あらゆる方向からの水しぶきから保護(生活防水の目安)
3垂直から60度以内の降雨から保護
215度以内に傾けたときの落下水から保護
1垂直に落ちる水滴から保護
0保護なし
X防水について評価・表記していない

日常使いなら水しぶきに耐える IPX4(生活防水) 程度が一つの目安。アウトドアでハードに使うなら、水没にも耐える IPX7以上 がほしいところです。なお、最高等級のIPX8だけは試験方法が規格で定められておらず、「IPX7より厳しい条件で試験する」とだけ決められているため、具体的な条件はメーカーごとに異なります。

参考:日本産業標準調査会(JISC)「JIS C 0920」IEC「IEC 60529」

等級が高くても油断は禁物|よくある誤解と注意点

「IP68なら何をしても大丈夫」と思いがちですが、実はそうではありません。誤解しやすいポイントを押さえておきましょう。

① 等級は累積(上位互換)ではない

防水等級は「上の等級なら下も全部クリア」とは限りません。たとえばIPX8(水没OK)の製品でも、IPX6相当の「強い噴流水」には耐えられない場合があります。水中では使えても、シャワーや直接の水洗いは想定外、ということが起こり得ます。水没と噴流水の両方に対応する製品は「IPX5/IPX8」のように2つの等級が併記されます。

② 試験は常温の真水で行われる

防水試験は基本的に常温の真水で実施されます。そのため、塩分を含む海水、薬品を含む雨、アルコール、石けん水などは保護の対象外です。海やお風呂での使用は、製品の想定を超えるリスクがあると考えましょう。

③ 水蒸気・結露に注意

水蒸気は液体よりも内部に侵入しやすく厄介です。お風呂で使ったあと、気温の低い部屋に移ると内部が冷えて結露が発生することもあります。

④ フタ・カバーは閉じて使う

IP6Xの防塵性能があっても、充電ポートやスピーカー部から侵入すれば故障の原因に。カバー付きの製品は、必ず閉じた状態で使用してください。

まとめ

IP・IPXコードは、前の数字が防塵、後ろの数字が防水を表すシンプルな規格です。「X」はゼロではなく「未評価」を意味する点、そして等級が高くても海水や噴流水など想定外の使い方では故障し得る点を押さえておけば、製品選びで失敗しにくくなります。日常使いならIPX4、アウトドアならIPX7以上を一つの目安にしつつ、最終的には各製品の公式スペックを必ず確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

「IPX4」と「IP54」はどう違いますか?

IPX4は防水性能(4級)だけを表記したもので、防塵性能は評価・表記していません。一方IP54は、防塵5級+防水4級の両方を表記したものです。「X」がついている方は、その項目を評価していないと考えてください。

IPX7とIPX8では、どちらが防水性能が高いですか?

数字が大きいIPX8の方が高い等級です。ただしIPX8は試験条件がメーカー規定のため、具体的な耐水深・時間は製品によって異なります。また「水没に強い=強い水流にも強い」とは限らない点に注意してください。

「生活防水」とはどのくらいの性能ですか?

明確な規格用語ではありませんが、一般的にIPX4程度(あらゆる方向からの水しぶきに耐える)を指すことが多いです。汗や小雨、濡れた手での操作といった日常シーンを想定したレベルと考えるとよいでしょう。

IP67の製品はお風呂やプールで使えますか?

IPX7は「常温・真水・水深1m・30分まで」の一時的な水没を想定した等級です。お湯・水蒸気・塩素を含むプール・石けん水などは試験条件外のため、対応をうたっていない限り使用は避けるのが安全です。必ず製品の公式情報を確認してください。

防水等級が高ければ、海でも使えますか?

基本的におすすめできません。防水試験は真水で行われており、塩分を含む海水は保護の対象外です。海で使う場合は、海水対応を明記した製品を選びましょう。

イヤホンを選ぶとき、どのくらいの防水性能があれば安心ですか?

運動や汗、急な雨を想定するならIPX4以上が一つの目安です。さらにハードに使う、汗をかなりかくといった用途ならIPX5〜7あたりがあると安心感が増します。

参考リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次